2016年11月23日水曜日

「神志那弘志の 実践パース講座「特別編」西村聡の演出講座」アフターレポート

2016年9月25日(日)に東京工芸大学中野キャンパス2号館にて「神志那弘志の実践パース講座「特別編」西村聡の演出講座」が開催されました。

受付開始の11時30分頃から受講者が徐々に集まり始め、大きな混雑もなく、スムーズに会場入りが進みます。
今回も多くの方々が講座に足を運んで下さいました。

冒頭、神志那弘志氏より挨拶、注意事項などのアナウンスがあった後、今回のゲスト講師である西村聡氏にバトンが渡され、あにれく主催の第1回「演出講座」がスタートしました。










西村氏は開講早々、「『演出論』などというものありません」と言い切ります。
これには受講者も面食らったかも知れません。
ですが、すぐに「これまでに演出家として活動してきた中で、これは成功したというケースを紹介していきます」と続け、あくまでも実践の中で培ってきた、具体的な「演出法」をレクチャするとのことでした。

まずは、今回のテキストとなる、『うしおととら』の第7話を上映。
再び冒頭に戻って、各カットを振り返りながら、その都度解説していくというスタイルで今回の演出講座は進められていきます。
受講者の手元には一部抜粋された絵コンテが配られていましたが、結局、講義時間いっぱいを使って、まるまる1話分の解説がなされました。

画面の「上手(かみて)」「下手(しもて)」の由来や意味といった初歩的な知識から、カットのつながりがスムーズに見える工夫、絶妙にキャラが配置されたレイアウトの狙いなど、カット毎に細かい説明がなされていきます。

特に強調されていたのは、映像を音楽に例え、「リズム(テンポ)」と「メロディ」が重要だということ。
リズムとはカットの流れのことで、その中の「間」は「溜め」であり、十分に「溜め」を作るからこそ「解放」が気持ち良さにつながる、とのことでした。
また、音楽的センスのある人が演出家に向いている、とも。





さらには、単なる「演出法」だけにとどまらず、無闇に大変なカットを作らない
(作画の負担軽減)、カット数を減らす工夫など、商業ベースのTVアニメーション
制作現場を念頭に置いた、「アニメーションの作り方」についても言及。

学生や一般の方など、業界外の人には少し敷居が高い内容ではありましたが、受講者は皆ずっと真剣に聞き入っている様子で、講義全体を通して心地よい緊張感が漂っていました。





講座の後には、恒例の懇親会も開催。
今回は受講者の6割以上がアニメーション関係者ということもあり、業界話で盛り上がっていた様子でした。

受講者の方々からいただいたアンケートは概ね良好で、また開いて欲しいという要望が多数寄せられているようです。
西村氏も、次回があれば是非他の作品でもやりたいと意気込みを見せていました。



スタッフ一同、今回の演出講座に手応えを感じていますので、第2回も是非開催
したいと思っています。
受講していただいた皆様、本当にありがとうございました。