2021年5月30日日曜日

『大前説』の件

ども、博多です。


2007年から絵コンテの仕事を始めたので、今年で14年になります。

日の目を見なかった作品や海外のクレジットされてない作品なども合わせると、30分番組の絵コンテだけでも200本以上は絵コンテを切ったハズです、多分。※

14年間、ありがたいことにそれなりに仕事は繋がっていて、まるまる1ヶ月以上仕事が途切れたことはほどんどありません。(ないわけではない)


自分なりの分析ですが、それには明確に理由があって、基本的に「納期を守る」からだと思ってます。


は? 当たり前じゃん。


って思うでしょ?


でも、この業界ではその当たり前のことがなんと「ウリ」になるんですねえ。

なぜかというと、「納期を守れない人が圧倒的に多い」から。

「納期を守る」ということを続けるだけで、基本的には仕事は繋がります。

よほど、使い物にならない、ド酷い絵コンテでも切らない限りは。


なぜでしょう。


答えは簡単です。

アニメーションの制作は基本的に「納期」(この場合、フィルムの納品日)から逆算して、各セクションのスケジュールが組まれています。

その中にはスケジュールが読めない、あるいは読みづらい工程が山のようにあります。

特に近年は、各スタッフが複数の作品を掛け持ちするのが当たり前なので、それぞれの作品のスケジュールがぶつかったり食い合ったりして、作業期間が見えないセクションが多い。

制作スタッフとしては、なるべく前倒しでスケジュールを走らせておいて、時間的な余裕が欲しいわけです。


で。

「絵コンテ」はシナリオの次の工程にあたります。

絵コンテが上がると「演出打ち合わせ」があり、その後ようやく各セクションの「打ち合わせ」が始まり、現場が動き出すのです。

なので、絵コンテの遅れはそのまま「最初の」現場の遅れに直結します。

それ以前にシナリオ上がってこない、とかいう場合もありますが。


絵コンテがスケジュール通りに上がってくるということは、制作スタッフからすると「順調なスタートを切れる」ことを意味します。

それ故、スケジュールを守るコンテマンは重宝される、と言えるわけです。


もちろん、絵コンテの「質」で信用を得ている人もいます。

でも、それは別の話。


で、私の場合。

30分番組の絵コンテであれば、よほどキツイ内容(登場人物が愕然とするほど多いとか、場所+シーン変えが異常に多いとか)でない限り、1ヶ月以内で切ることを心掛けてます。

もちろん、演出処理をやりながら、です。

言い方を変えると、最低限毎月コンテ1本分くらいのギャラを稼ぐ、ということです。


この、「1ヶ月で30分番組1本の絵コンテを切る」ことがどれだけ大変か、という話。


次回に続きます。


では、また。



博多



なぜかこの業界では絵コンテを「切る」という言い方をします。言わない人もいるかもしれませんが。


2021年5月22日土曜日

【Tips】付箋一枚で作画用紙を束ねる

ども、博多です。


演出処理を始めて2〜3年目に編み出した小技を紹介します。



作画用紙のタップ穴に
粘着面を下手前側にして、付箋を通します。
上端は紙と揃えておきます。
付箋を折って
(裏側から見たところ)
そのままクルッと回して、タップ穴から再び表に出します。
出てきた付箋は下側が粘着面なので、
そのまま貼って出来上がりです。


横から見るとこんな感じです。↓





結構カチッと止まりますし、20枚くらいまではいけます。
付箋の幅は15ミリのものがぴったりハマります。


私と同じように、作業中に思いつく人も多いと思うのですが、同じ留め方をしている人を今までに一人しか見たことないので、意外にマイナーな留め方かもしれません。


「自分で思いついた」というのが秘かな自慢です。えっへん。


では、また。



博多




2021年5月12日水曜日

あにれくのあぶく:ヤマト 2021年5月12日

良く絵コンテや演出の作業をしていると一番参考にしていた本はと聞かれます。 

 これが一番だと作品制作の価値観を一つにすれば表現も限定されますしあまりオススメしませんが、とは言え今まで長く使って一冊ボロボロになって分解してしまい、数年前に買い替えた本があります。

 王立宇宙軍制作記録集と言う本です。 

 自分が動画をやっていた30年近く前に先輩から進められて購入した本。
内容としてもこの作品は明確なコンテが存在せずに打ち合わせでメモ的なものから作画発注されたと聞いており、本の中にはレイアウトや資料が大量に表記されています。


アニメイトショップなどで購入しましたが ちょっとだけ古い本だから最近は中古購入かも知れませんがオススメの一冊です。

 ヤマトナオミチ

2021年5月6日木曜日

『流し見できない』案件

ども、博多です。


映像制作に携わっている身としては、普段から映画だのドラマだのよく観ています。

それは実益を兼ねた趣味でもあり、趣味が高じて仕事につながっているとも言えます。


なので、

現在はVOD(動画配信サービス)を3つほど契約していて、新たに円盤(パッケージ版のDVD、BD)を買ったりレンタルビデオ屋に走ったりせずとも、それなりに映画ドラマ、バラエティ、ドキュメンタリーなどなど見放題な毎日なわけです。


とはいえ、ひねもす&よもすがら、ずーっと観てるわけにはいきません。

仕事がありますんでね。仕事が。(強調)


で、まあ、

こういう仕事……つまり演出処理や絵コンテを描いたりしていると、割と単調な作業が続く時間帯があります。

完全に流れ作業、頭使わなくても勝手に体が動いてくれる作業です。


そんな時!

ノートPC(MacBookだけどね!)で思わず、映画やらドラマやらアニメやらを流しながら仕事しちゃうじゃないですか。

時間の有効活用ってやつ?

頭使わない仕事だから観れるかなって。


……でも、出来ないんですねえ。両立。


観入っちゃう。

ガッツリ観ちゃう。

ちゃんと観ないと気が済まない。

もっと言うと、失礼な気がしちゃう。


なので、「そっとじ」です。


そうやって、私の「お気に入り」はどんどんドンドン増えていって、今や死ぬまでに全部観切れる気がしないくらいパンパンに膨らんでおります。


しかも、新作配信されたら「お気に入り」そっちのけで観ちゃったりしてるので、全然減っていく気配もないっていうね。



VODあるあるですね。



ちなみに、

そんな仕事中にはバラエティ番組やトーク主体のYoutube(主にオカルト系)なんかを「聞いて」ます。



……あ、もちろん、好きな作品は円盤買ってますよ(何のフォローか?)



では、また。




博多

2021年5月1日土曜日

『いよいよ大台に乗ってきた』件 その3

 ども、博多です。


いつまでも新人気分で仕事できないって話の続きです。



で、まあ、

それなりに作品数も増えてきて、演出家として10年以上のキャリアを積んでくると、当然のように後進もできてくるわけです。

その人たちからすると、私も一応先達ということになって、あれこれ相談されたり話を聞いてくれたりします。

思ってるかどうかは知りませんが、「すごいですね」だの「なるほど。勉強になります」だの気持ち良い言葉をかけてくれたりするわけです。

思ってるかどうかは知りませんが。


こうなってくると、いつまでも「駆け出しのペーペー気分」でやってられません。

相談されたらそれなりに経験を基にアドバイスしたり、自分の体験談などを話して仕事の参考にしてもらったり、「お手本」とならなければいけない。

これが私の性分だと、とにかく「後ろめたい」。


「お手本」になれるほどの技術はあるのか。

経験を積んだのか。

人間としてどうなんだ。

そもそも、お前にはできているのか。

今もし同じ状況になったらお前もそうなるんじゃないか。


という想いがグルグルぐるぐる渦巻くわけです。


と、

ここで一つの金言があります。


「心に棚を作れ!」(BY 島本和彦)


とりあえず、そういう想いは一旦棚に上げ、自分ができてるかどうかは別にして、指標を言葉で示すことはできます。

できてないことは言葉にしてはいけない、わけじゃない。

それによって、後進が救われるのであれば、いいじゃないか。


そんな風に割り切って、近年は話をすることにしています。

常に心の中でツッコミを入れながら。


「お前が言うな」




では、また。



博多