2021年11月29日月曜日

あにれくのあぶく:ヤマト 2021年11月29日

随分と寒くなってきましたが皆様体調を崩されたりしないでしょうか。

自分はあい変わらず目の前の事に必死に取り組んでおります。


「灼熱の魂」





今回紹介する作品は有名だけど簡単に人に紹介して良いものではない、、

それほど人によっては受ける印象の強いもので、、、

ですが、自分が歌う女性の作品を手掛ける時に必ず思い出す作品です。



どのように生まれた人であってもどんな生きかたをするかを追求出来る自由がある

どこの国に生まれようと、、、どんな社会であっても

そして、生まれた人は皆、祝福されるべき


ストーリーだけではなく構図やカット表現も美しく、、監督の才能を感じさせます。


レバノン生まれの方による戯曲が原作で

最近公開した映画DUNEの監督ドゥニ・ヴィルヌーヴが脚本、監督

そのあとの作品群にも多くの影響を感じます。



その前にあった「静かなる叫び」と言う作品も衝撃的な作品なんですが

時期をみて改めて、、


また皆さんも良い作品に出会えると嬉しいです



ヤマトナオミチ


2021年11月13日土曜日

あにれくのあぶく:ヤマト 2021年11月13日

 ご無沙汰してます、ヤマトです。


毎回自分の持っているオススメソフトをあげているのですが今回は、


「もしも建物が話せたら」



ヴィム・ベンダースやマイケル・レッドフォードなど6人の監督による短編集です。

建物は人が住むだけのものではなく、音楽を聴く為に、書籍を保管する為に、囚人を管理する為に、研究をする為、舞踊を極める為、、そして映画を観る為に存在します。

その為に極められた美しさ、歴史、人々の息遣いを感じられてはどうでしょうか、


人は何の為に生き何の為に死ぬのか、、永遠の課題かもしれません。

長生きする事が大事なのか、好きなことを好きなだけ楽しむ事が良いのか、

家族を養う事、何かに探究する事、、、誰かの為に、何かの為に



アニメ業界でも様々な人生を聞く事もあります。

その人の生きかたはそれで良かったのか、、

後悔は無いのか、、誰も問えるものではないとは思います


ただ、それを知る為の手掛かりの一つになれば嬉しいです


発売は株式会社WOWOW  販売は株式会社ポニーキャニオンさんです



ヤマトナオミチ

2021年11月4日木曜日

『絵コンテを切る!!』第13回

ども、博多です。

さていよいよ、ここからが本番。
コンテ用紙を前にして何から始めるか、っていう話です。

用紙と筆記用具、シナリオがあればコンテが切れるわけではありません。
コンテを切るには、その作品の設定資料が必要です。
コンテの絵が何を示すか分からないといけませんからね。
設定を見て、何となくでも「それ」に見える絵で描かなければならない。

なので、
まずは作成した香盤表を元に、これから描くシーンに必要な設定を用意します。
香盤表にはシーンの場所と主な登場人物を書いてあるので、一目瞭然ですね。

実はこの「設定を用意する」作業は絵コンテに限らず、どのセクションにおいても意外と時間を食います。
一本のアニメーション作品を作る時、キャラクターだけでなく、小物、メカ、美術など膨大な量の設定資料が作成されます。

各話のみの設定だけでも、多い時には百点以上、ワンシーン、ワンカット、何なら画面の端に見切れるだけのものにも設定が用意されています。
それらの設定を参照して作業に臨むわけですが、必要な時に都度都度引っ張り出してきて見るのは効率が悪すぎます。


できれば、
そのシーンに必要な設定はひとまとめにしておきたい。


私は一日の仕事の初めに、必ず設定を整理して、その日使う分だけ用意します。
「設定を探す」時間を限りなく減らすためです。
設定を探す行為は、絵コンテを切るという作業の集中力を低下させます。
すなわち、効率を下げることになります。


何度も言っていることですが、
私は基本的に、仕事は効率良くやるべきと考える質なので、事前準備を大切にしています。
でも、その「時間短縮」が積もり積もって、「絵コンテを早く切る」ことに繋がるとも思っています。


では、また。



博多

2021年10月3日日曜日

あにれくのあぶく:ヤマト 2021年10月4日

少しずつ日も傾き、自宅の冷房をつける事も無くなり。

最近はだいぶ涼しくなってきましたが皆様体調崩さず過ごしておりますでしょうか。


前回、前々回とちょっと政治色の強い作品を紹介しておりましたが、今回はもう少し色を変えて……




アポロ11「完全版」93分の作品です。

50年前の、1969年のアポロ11号計画に焦点を当ててた2019年に公開された作品です

70ミリフィルムを含む完全アーカイブのみで作成され、ナレーション、インタビュー、再現の無い情報の固まりのような作品です。

自分も劇場で瞬きするのすらためらうぐらい集中して、見終わったあとは目をしばしばさせてました。

アーカイブのみで作られた映像なのに編集技術の高さによりとてもドラマティックにつくられて当時の人々の興奮を感じられます。


息をのむほどの情報量人々の熱気宇宙という憧れ……

臨場感と緊迫感……


自分もありがたいことに宇宙を舞台にした作品も多く携わり、また今もこの作品を意識しつつ仕事に向かっております。



ヤマトナオミチ

2021年9月25日土曜日

『絵コンテを切る‼︎!』第12回

 ども、博多です。


「準備万端、いざコンテを切るぞ」と言いたいところですが、最後の最後にもうひとつ準備しておきたい。

香盤表で全体の構成が見えた状態で、今度は具体的なカット割りを「下描き」しておきます。


「そんなの、コンテ描きながらでいいじゃん」と思うでしょう?


もちろん、コンテ用紙に描きながらでも構いません。

ただ、コンテ用紙上で描きかえたり、カットを入れ替えるのは結構大変です。


特に、コンテを切り始めたばかりの頃は描いては消し、修正しては消し、の試行錯誤が続きます。

なにしろ、絵コンテには「正解」がありません。

描き進めていくうちに「あ、あそこはこうしておけば良かった」と前のカットが気になって、戻って修正したくなることもしばしばです。

「すでに描きあげたもの」に手を加えて直していくのは、想像以上に気が滅入る作業です。

作業ペースも乱れるし、モチベーションもちょい下がります。


こういった事態をなるべく回避するために「サムネイル」(と私は呼んでます)を作成します。


「サム……ネイル……?」と思われた方も多いでしょう。


これは生来心配性の、私が思い付いた方法ですが、初心者には是非とも実践していただきたい。

ここはちょっと強めに言っておきたい。


「是非とも実践していただきたい‼︎



これは始めにも書いた通り、カット割りの「下描き」です。

私が描いているのは、こんな感じ。





「下描き」と呼ぶのは憚られるような殴り描きですが、これでも十分です。

ここで大事なのは、実作業時に何を描いていたか思い出せるかどうか、ですから。

メモと言う方が近いかもしれません。


「サムネイル」とは、どんなカットが順番に連なっていくのか、の「メモ」です。


これを最後まで一気に描きあげてしまいましょう。


「山場」「平場」のバランスや、アングルの切り返し、各キャラの配分、ざっくりのレイアウト、ざっくりのセリフをここでほとんど決め込んでしまいます。

この作業はそこだけに集中するので、早ければ3、4日、遅くとも1週〜10日ほどで終わるはずです。


実は、この作業の要点はもうひとつあります。


それは「コンテを最後まで描きあげた感」です。

これがデカイ。

そして、初心者に実践を勧める最大の理由でもあります。


何度も何度も口を酸っぱくして言いますが、大事なことなので、また言います。


作業の全体像を把握してから、作業を始めること。

そして、自分が今、全体のどの辺りを作業しているのかを把握すること。



スケジュールを守る上でも、仕上がりのクオリティを考えても、これを常に意識してください。

絵コンテに限らず、長期間に渡る仕事を行う時には必ず意識すべきことです。




……正直、当たり前のことすぎて、「何言ってんだ、私は」と思っているんですが。




……ですが、

こんな当たり前のことすら分かってない人で溢れている、アニメ業界です。

締め切りを守るだけで重宝がられるってんなら、存分に重宝がられてやりましょう!



いよいよ、準備は整いました。

橋本真也的に言うと


「時は来た!」



コンテ用紙に向かいましょう。



では、また。




博多

2021年9月14日火曜日

あにれくのあぶく:ヤマト 2021年9月14日


少しずつ暑さも弱まり秋の風情が出て来ました。
暑さに弱い自分はホッとしつつも過ぎて行く時間に焦りこれからの仕事や依頼に対してどう対応すべきか、日々頭を悩ませながら続けております。

今日も一本の映画を紹介させてください。
「娘は戦場で生まれた」  原題は「For Sama」と言う映画です。


シリアと言う国が舞台です。
十数年前に自分の仕事の参考にこの国の資料を集めていた事がありました。
近代でも何度もあちこちの国と抗争を繰り返し政情が不安定な国ですが、人類最古の楽譜「フルリ賛歌」が発見され夏は砂漠のイメージ、冬には雪も降り、中東といえど比較的緑豊かな日干しレンガと羊飼いのイメージの美しい国。
まだまだ貧困に喘ぐ人もいましたが、ダマスカス、ラタキア、ホムス、アレッポの街並みは本当にある街なのかと思えるほどの輝きでした。

ジャスミン革命、アラブの春、シーア派とスンニ派の対立、ISISの介入

その中でジャーナリスト志望の学生のワアドさんは撮影を始める
医者志望のハムザと出会い、夫婦となり、そしてサマと言う新しい生命を得ます。
彼女が撮影した四年間がまとまっています。

一家はその後イギリスに渡りこの作品を完成されました

もし興味が出ましたら是非ご覧下さい。

うろ覚えの知識なので間違いあったらすいません、、

ヤマトナオミチ

2021年9月9日木曜日

『絵コンテを切る‼︎』第11回

 ども、博多です。



シナリオでシーン分けと想定カットの配分が出来たら、「香盤表(兼 進行表)」を作成していきます。


私がいつも使っている香盤表は、こんな感じです。





準備の段階でここまで書き込んでおいて、コンテの全体像を把握しておきます。


実際にやってみると分かりますが、この表を作成した段階で、実はもう、ほとんどコンテの完成形が見えています。

なぜなら、シナリオを読み込み、頭の中で映像が流れている状態で、各シーンのカット割りと長さが想定出来ているから。

後はそれを適切にコンテ用紙に描き出せば良いだけです。


コンテを切り始めたら、以下の部分に書き込んでいき、カット数、秒数の過不足を確かめつつ作業を進めていきます。





エクセルなどの表計算ソフトで、最初にテンプレートを作ってさえおけば、赤字の部分は勝手に埋めてくれるので、ラクチンです。





全体の進行状況を可視化し、常に確認しながら作業を進めていくことで、致命的な大直しや遅延を防ぐことができます。

以前も言ったように、「納期を守る」ことがコンテマンとしての強みになるので、スケジュール通りに上げるためにも、この香盤表作成は「必須」と私は考えます。



ちなみに、

この香盤表は【大師匠】芦田豊雄の直伝です。

最初にこれを教わっていたので、今まで一度も混乱することなく、絵コンテが切れています。


本当に本当に本当に、本っっ当〜〜〜に【大師匠】には感謝しかないです。

実際に、面と向かって、言葉にして、感謝を伝える事が出来なかったのが、今でも悔やまれます。

私のバカ‼︎



さて。


このように、コンテ用紙に向かうまでに周到に準備をしておくことが肝要です。

また、綿密に準備しておけば、大きなトラブルも回避しやすくなります(ないわけではない)。

仕事の大半は準備である、とはよく聞く言葉ですが、こと作業量の多い「絵コンテを切る」という仕事においては至言でしょう。



では、いよいよコンテ用紙に……


と言いたいところですが、もうひとつ、最後の準備があります。

こちらは準備というより、ほぼ実作業なのですが。



次回に続きます。


では、また。




博多

2021年9月6日月曜日

「オッドタクシーと落語」

大石です。

アニメーターのくせに全然アニメを見ない私ですが、オッドタクシーは久しぶりに面白かった。
一見ゆるそうな作品かと思いきや、脚本がとても緻密に構成されている。
私は特に軽妙な語り口に魅力を感じました。
この感じ、何かに似ている…なんか、落語っぽい?!

オッドタクシーに出て来る登場人物は、私たちと変わらない日常を送る市井の人々ばかり。
それぞれが身近にありそうな失敗や不幸にもがいていて、観客側はそんな姿に共感しつつも笑いを誘われる。
起きている事件は深刻であっても、その時の人々の振る舞いをドライに描き、その距離感によって絶妙な滑稽さを醸し出している。
この普通の人々への愛情のある視点と、突き放した粋さの共存が落語っぽいのである。

「らくだ」という落語があって、ご存じなければどこかで聞いてみて頂きたいのだが、雑に説明すると、「らくだ」という仇名の嫌われ者が急死して、その死がいかに雑に扱われるかを面白おかしく聞かせる噺だ。
こうやって説明するとどこが面白いのかさっぱり伝わらないとは思うが、私はオッドタクシーからこの落語を連想したのだった。

「らくだ」に限らず、落語における死生観の雑さは実に興味深い。
時代を少し遡れば、人は簡単に死ぬし、死んだ人たちはすぐ側にいる、という認識だったのだろう。
「粗忽長屋」では自分の死体を自分で運ぶ、という粗忽にも程がある行為が平然と行われる。
死は事件ではなく日常だった。

オッドタクシーを落語の感覚で見ていたため、ハードボイルドという印象は特に持たなかった。
総じて「犯罪」に分類される行為も、人の振る舞いの延長線として「日常」と並列に描かれていたように思う。
ラストの落としどころも、軽い「下げ」で終わる落語のようで粋さを感じた。
「落語とは人間の業を肯定するもの」という談志師匠の名言を、私はオッドタクシーに見たのだった。

2021年9月4日土曜日

『絵コンテを切る‼︎』第10回

ども、博多です。

前回は、総尺を想定カット数で割って、1カットあたりの平均秒数を把握する、というところまで話しました。

その上で、今度はコンテ全体での配分を意識してみます。


まずはシナリオをシーン分けして、各シーンのボリュームを視覚化してみます。





シナリオの柱毎にシーン番号を振っていきます。

柱が少なく、1シーンが長くなりそうな場合は、ひと盛り上がりしたところで適宜シーン分けするのもいいでしょう。



シーン分けしたら、各シーンの想定カットを算出します。





この想定カット数は、かなりざっくりで構いません。

目分量で測って、「大体3/4くらいだから、9カットくらいかな」的な。


何度も言いますが「想定」カット数は、ただの「目安」です。


ただ、この「目安」があるのとないのとでは、効率が全然違います。

特に、コンテを切り始めたばかりの時は。


以前も書きましたが、30分のTVシリーズ1本分の絵コンテは、初心者には想像を絶する物量です。

描いても描いても終わる気がしません。

そんな時、自分が今、全体の作業のどのくらいこなしているのか、あとどのくらい残っているのかを把握することはとても重要です。

自分の作業ペースを可視化して、常に意識することでいつ頃アップ(完了)出来るのかが分かります。


いつ終わるか分からない作業をやることは苦痛です。

終わりが見えるからこそ、ラストスパートもかけられるのです。



さて、

シナリオにシーン番号を振って、想定カット数を書き込んだら、次の「準備」です。



では、また。




博多

2021年9月1日水曜日

あにれくのあぶく:ヤマト 2021年9月1日

ヤマトです


まだまだ暑い中皆様体調崩しておりませんか?


自分は毎年暑さに弱くシャツを汗でびしょ濡れにしております



毎回本を紹介していたのですが今回はDVDを紹介します。

作画の参考や映画の知識とは関係無いのですが自分はこの作品を何度も参考にしていました。





「アフガン零年」と言う2003年の作品です。

13歳と言ってますが自分の正確な年齢すら分からない物乞いをしていたマリナと言う少女が主人公を演じ、彼女はその後教育を受けて女性の教育向上の活動をしていると聞いてました。



「ミナは歩いてゆく」と言う作品が2015年に作れられ教師役にマリナが出ていると聞いていますが残念ながら観ることが出来ないままになっています



自分が参加した作品で格差を表現した作品の時には必ず見直していた作品の一つです。

興味のある方は是非ご覧くださいませ



ヤマトナオミチ 

2021年8月28日土曜日

『絵コンテを切る‼︎』第9回

 ども、博多です。


さて、シナリオを読み込み、「山場」を設定したら、今度はコンテ全体のバランスを考えます。


私がまずやるのは、「各シーンの想定カット数の設定」です。

TVシリーズ作品には必ず放送用の「フォーマット」があり、決まった秒数つまり「総尺(または定尺)」があります。

これはガッチリ決まっていて、気分で数秒伸ばしたり縮めたり出来るものではありません。

なので、ここに収まるような秒数で絵コンテを切る必要があります。


「収まる」と言いましたが、基本的には「カッティング」という編集作業が控えていますので、少し長めに作っておいて切ってもらうのが通例です。

カッティングで切れる秒数は、30〜60秒前後。

それ以上長いとカッティングで、演出家と監督が編集さんと一緒に頭を悩ますことになります。

逆に短いと、伸ばしどころを探すことになります。

「尺を伸ばす」のも意外と難しい。

編集さんは基本的にフィルムにテンポを求めます。

変な「間」を嫌うので、「特に意味のない間尺」はカッティングではガンガン落とされます。

そうすると、最初に想定していた「総尺」よりも短くなっていきます。

じゃあ、どこを伸ばそうかとなった時に、全体で「切り揃えた」テンポの中に、妙に間の長いシーンが出来てしまうわけです。


余談として。

絵コンテで想定した「尺(各カットの秒数)」は当然、監督チェック時に変更されることがあります。

さらに、演出家がカッティング素材を作る場合、その監督チェック上がりのコンテ尺から変えることもしょっちゅうあります。

なので、「絵コンテ上の尺」はあくまでも目安です。

もちろん、そのまま使われることもあるので、いい加減につけていいものではありません。


で、

「定尺」よりも30〜60秒くらい多目のコンテを切っていくわけですが、そのためには「カット数」の把握が関わって来ます。


各作品には「定尺」同様、このくらいのカット数で収めてほしいという「想定カット数」があります。

これは制作予算に直結する問題です。

なぜなら、日本のTVシリーズアニメのほとんどが、「1カット◌◌円」という単価で原画を発注しているからです。

制作費から原画費を割り当て、原画マンに仕事を出しているわけですが、カット数が多ければ多いほど予算を圧迫します。

制作としては毎話数、ある程度決まったカット数の中で作りたいわけです。


この「定尺」と「想定カット数」は、「コンテ打ち」の際に、制作から伝えられます。

そして、「想定作画枚数」も。


その時に、「どのくらい動かせそうか」「どんなテンポのフィルムになりそうか」「カット割りは細かく出来そうか」がなんとなくイメージ出来るようになると、色々と捗ります。



閑話休題。


ここで最初に述べた「各シーンの想定カット数の設定」です。

この「総尺」を「想定カット数」で割ります。

すると、こんな感じの式ができます。


例)

1200秒(総尺)÷300カット(想定カット数)=4秒


つまり、「1カット=4秒」でこの作品のコンテを切ればよい、というわけです。

もちろん、「全カット4秒のコンテ」を切るという意味ではありません。

「全カットの平均秒数がおよそ4秒で300カット前後のコンテ」を切るということです。


この「目安」が重要になってきます。



長くなりそうなので、次回に続けます。


では、また。




博多

2021年8月24日火曜日

あにれくのあぶく:ヤマト 2021年8月24日

 ご無沙汰しています。

ヤマトナオミチです


以前の本紹介で出された本が近年はプレミア付いて高額だと言う話で


今回はそこまでじゃない本の紹介です。


自分は近年マクロスデルタと言う作品の各話コンテ演出として参加し。その後劇場作品としてマクロスデルタ劇場版激情のワルキューレと言う作品で演出を担当して、今現在マクロスデルタ絶対live!!!!!!の副監督として鋭意作業中です。


折角ですので初代マクロスのオススメ本を紹介します。





マクロスパーフェクトメモリー

1983年out10月号創刊






みのり書房より発行されています。


中には当時のキャラデザ、メカデザインだけでなくラフスケッチやカラーページにレイアウトも少しですが載っています。

当時のスタッフのインタビューや寄稿も載っていて胸が熱くなります。


宜しかったら手に取ってみてはどうでしょう。


ではではまたの機会に次からはもう少し気軽な記事も書きたいと思います。




ヤマトより。



2021年8月18日水曜日

『絵コンテを切る‼︎』第8回

ども、博多です。

「山場」のお話。

「山場」を強調するために「平場」をたっぷり用意する、と言いましたが、それはストーリーがきちんとしている場合の話です。
ドラマに盛り上がりがあり、セリフに聞かせどころがあって、それだけで間が持つ場合です。

悲しいことに、「どうしようもない」シナリオに当たるケースがあります。

特に(シナリオの)山場らしい山場がない。
シリーズ中の大きな話の、完全に「承」の部分だけである。
話のピントがぼけていて、何を言いたいのか分からない。
何度読んでもシナリオの「核」が見えてこない。
セリフが何を言ってるのか分からない。
などなど。

こうなってくると「山場」の設定が難しく「平場」との配分も変わって来ます。
頭を切り替えて「目で楽しませる」コンテに徹して、視聴者を飽きさせない工夫をしましょう。

キャラをガンガン動かし、凝ったアングルのショットを作り、テンポよくカットを切り替え、「何だか分からないけど面白そう」なフィルムを目指しましょう(笑)。


逆に言うと、
シリーズの流れ的に大して重要でもない話が、やたらテンションが高くて作画がゴリゴリ動いていたら、そういうことかもしれません。


コンテを切り始めた人が陥りがちな「全部山場」の罠。
56分くらいのミュージックビデオやショートフィルムくらいならアリかもしれません。

とにかくこれだけは覚えて帰ってください。

「山場」のセリフは頭に入ってこない。



では、また。


博多

2021年8月3日火曜日

『絵コンテを切る‼︎』第7回

 ども、博多です。


前回の続きです。


頭の中で描いた「完全なる理想形」の映像を絵コンテに落とし込む時には、ある程度「現場のキャパシティ」を想定しないといけません。

ずっと動きっぱなしというわけにはいかないし、止め絵だけのフィルムなんてのもあり得ません。

やはりメリハリが大事です。


となると、前回定義した「山場」をどこに設定するか肝(キモ)になってきます。

大抵の場合、シナリオには「起」「承」「転」「結」があります。

その中で「起」と「転」の部分が「山場」になることが多いです。


「起」はつかみの部分。

最初に思い切り動かしておいて、「動いているフィルム」を印象付ける。

スポーツアニメなどで、私がよく使う手です。


「転」は話が盛り上がって来て、ラストのオチつまり「結」の直前です。

ラストに向けてお膳立てが揃って、あとはコトをなすだけ、みたいな状況。

「話は終わった。さあ、おっ始めようか」となって、あとはもうそのアクションを起こすだけ、みたいなところでド派手に動かす。

それこそ文字通りの「山場」でもあります。



そのコンテでの「山場」が決まったら、あとはそこに向かって徐々に盛り上げていきます。

これはシナリオの話ではなくて、画面的なテンションという意味です。


私は「平場」という言い方をするんですが、会話が続くだけだったり、何気ない日常描写、特に大きなアクションもなく、1カットあたりの秒数が長い状況が続くようなシーン……つまり「山場」ではないところで「山場」以外の尺を埋めていくわけですが、そこでも徐々にテンションを上げていき、「山場」に入る準備をしておくわけです。


私は、この「平場」と「山場」の割合は「73」から「82」くらいが妥当と考えます。

印象としては「基本平場で少しだけ山場がある」。

もちろん、話にもよりますけど。


なぜ「山場はちょっとだけ」がいいかと言うと、「山場」が多いと疲れるからです。

「緊張疲れ」というか、驚きが薄くなるんですよね。


「山場」「平場」という言葉でいうなら、ずっと続く「山場」はもう山場ではなく、単に高いところにある「平場」なんです。

「山場」の高さ(この場合、画面のテンション)を強調するためには、そうじゃない低いところをたっぷり用意しないといけない、ということです。


これを見誤ると「ただひたすらテンションが高い、何がいいたいのか分からないフィルム」が出来上がります。



前回も言いましたが、「山場」は視聴者の情報処置の効率が落ちるところです。

なので、「平場」が話の聞かせどころになります。

設定やストーリーが複雑な作品ほど「平場」が重要と言えます。


で、この「平場」をいかに飽きさせず見せ続けられるか、がコンテマンの腕の見せどころでもあるわけです。


派手なシーンに目が行きがちですが、本当に上手いコンテとは平場を平場と感じさせない、さりげないアングル選びやカット割りの技術が優れているのです。



「山場」の話、もうちょっと続きます。


では、また。



博多

2021年7月20日火曜日

『絵コンテを切る‼︎』第6回

ども、博多です。

前回は、頭の中で「完全なる理想形」の映像を描く、という話をしました。
そして、その映像をそのまま絵コンテに出来るわけではない、という話も。

この「そのまま絵コンテに出来ない」という言葉にはいくつかの意味が含まれます。

まずは、頭の中で描かれた映像は、映像であって映像ではない、ということです。
思い描いた映像の中では、あちらこちらを自在に見回せますし、何なら同じ時間に同時にいくつものカメラを構えている状態……マルチアングルで見ることも出来ます。
イメージとしては、「シナリオに描かれた物語が繰り広げられているVR空間に、自分が複数人でカメラマンとして入り込んでいる」といった感じでしょうか。
つまり、二次元単一画面の状態ではないのです。

次に、上記のような状態なので、カメラアングルが決まってなかったり、カット割りが決まっていません。
「このセリフまではこのキャラがこのアングルで喋って」とか「このアクションをきっかけにカメラをこっちに振る」みたいなことがまだ混沌としてるということです。
もちろん、始めから「決めカット」を何カットかは想定していると思います。
「この瞬間の、このセリフは、絶対にコレ!」的なカットは、シナリオを読んだ時に思いつくはずです。
しかし、それ以外のカットはまだぼんやりしていることでしょう。
その辺は実際に、絵コンテを切りながら、決め込んでいくことになります。
逆に、最初から全てのカットを決め込めていれば、コンテを切る作業が驚くほどサクサク進みます。

最後に、全ての動きがフルアニメーション、美麗で作画崩れ皆無の状態ですので、これを完全再現しようと思うと作画枚数がトンでもないことになるのと、激ウマアニメーターが山のように必要になります。
そんな現場、あったら教えてください。
そして、そこで私も演出やらせてください。

ところで、
この「現場のキャパシティを想定する」ことが商業アニメの絵コンテでは重要です。
前回も書きましたが、「低カロリーで見栄えの良いフィルム」を現場(制作)は求めています。

じゃ、「低カロリー」だからといって「止め絵」ばかりの映像でいいのか?
動かないアニメはアニメじゃありません。
アニメは動いてこそ、なんぼです。
それに現場も紙芝居アニメを作りたいわけじゃありません。
低カロリーといいつつも、ちゃんと動いて見えるフィルムが欲しいわけで。

動かすべき時に、適度なカロリーで効果的に動かす。

これです。
カロリーは必要だけど最小限、動かないところは極力枚数を削る。
これを意識しないと、無駄に高カロリーで、制作的に大変なだけのフィルムになってしまいます。
「ここ、こんなに動く必要ある?」的な。
もちろん、動いたら動いたで、見てる方は嬉しいんですけどね。


さて、
ここでは作画的に気合を入れて動かすところ、特に画面の変化率が激しいところを「山場」と呼称します。
あえて断りを入れるのは、「山場」という言葉には色々な解釈がある上、本来の意味から違う意味で使用するからです。
「制作的に高カロリーな場面」と仮定して使用します。


この「山場」、画面の変化が激しく、見ている人は興奮・高揚するので「見栄えがいい」です。
アニメーションのダイナミズムであり、人々を魅了するポイントとも言えます。

ただし、これは諸刃の剣でもあります。

なぜなら、感情が昂り、目が画面に釘付けになる一方で、耳からの情報処理が疎かになりがちだからです。
激しい画面変化を目で追いながら、耳からの情報を整理出来るほど、人間は器用じゃありません。

つまり、重要なセリフや視聴者に考えさせるような重たいシーンには向かないのです。
「いやいや。私は、耳からも目からも同時に情報を処理できるよ」という向きもあるでしょう。
あなたはそうかもしれません。
でも、普通の人は違います。

「自分はどうか」で判断せずに、「特に熱心に観ているわけでもない、一般の視聴者はどうか」で考えましょう。
なぜなら、その「絵コンテ=フィルム」はそういう人たちに向けて作っているのですから。


長くなってきたので、次回に続けます。

では、また。


博多

2021年7月8日木曜日

『絵コンテを切る!!』第5回

ども、博多です。

前回は、コンテ打ちまでにシナリオを読み込みましょう、という話をしました。


シナリオが頭に入ったら、何回も反芻してみます。

そうすると、頭の中に映像が浮かんでくるはずです。


実はシナリオを初見で読んだ時からすでに、ある程度画面を頭に思い描きながら読んでいるのですが、それはあくまでもその場面のイメージ……つまりは静止画、またはワンカットだけの映像であって、1本の繋がった映像ではないはずです。

この断片化されたイメージを、頭の中で繰り返し再生しながら、映像として組み立てていく作業を行っていきます。


ちなみに、この作業は完全に頭の中で行なっている作業なので、目に見える形ではありません。

どこまで出来たら終わり、という明確な線引きはないですし、自分の中で「見えた!」と思えば、そこで完了です。

もちろん、その作業中に絵コンテを切り始めることもあると思います。

切り始めても、常に頭の中で上映し続けましょう。

何回も何回も上映して、脳裏に焼き付けておきます。


そして、

そこで出来上がった映像は「完全なる理想形」の映像のはずです。

潤沢な作画枚数により滑らかに動き、作画の崩れも一切ない。

キャラ表よりもちょっとゴージャスに「盛った」絵かもしれません。

さらに美麗な背景、思った通りのところにジャストなタイミングで自在に動き回るカメラ。

まるで「夢のような」映像が出来上がったことでしょう。


これが「目標」になります。

アウトプットする際に、その映像をどれだけ再現出来るか、というのが絵コンテの作業と言ってもいいです。

ここでは敢えて「どれだけ”忠実に”再現出来るか」という言葉は使いません。※



さて、

ここから様々な「引き出し」が必要になります。

「経験値」と言い換えてもいいでしょう。


この映像を、ちゃんと商業アニメの制作体制で再現しようとした時に、どのような手法を使えば最適なのか。

作画のカロリーはどのくらいか。その作品のスタッフで消化できそうか。

定尺の中で収まりそうか。


残念ながら、現在の日本の商業アニメの現場はかなりシビアです。

潤沢な予算や制作期間は望むべくもありません。

TVシリーズなら、なおさらです。

限られた予算、スケジュールの中で、多くのスタッフの献身的な努力のおかげで、奇跡のような素晴らしいフィルムが作られているのです。


では、

そんな現場で望まれているのはどういう絵コンテか。


一言で言うと「低カロリーで見栄えの良いフィルム」が出来る絵コンテです。

作画や3Dなど手作業部分のカロリーが低く、かつ予算を低く抑えつつも、演出が優れていて、見栄えがよいフィルムになる絵コンテ、ということです。


簡単に言ってますけど、これが完璧にこなせれば苦労しないわけで。

やっぱり自分の思い描いた「理想形」の映像に近づけようとすると、カロリーが高くなったり、カット数が多くなったり、尺が大幅オーバーしちゃったりします。


正直、絵コンテを切っていると1カットたりとも無駄なカットはない、全てのカットが必要かつ素晴らしい画面だと錯覚してしまいます。

ま、錯覚しないとマズいわけですが。※


いろいろと「大幅オーバー」な絵コンテは、様々な部分がカット(この場合、削除の方)されていきます。

我が子のように愛おしい作品(絵コンテ)をズタズタにされないためにも、必要最小限で監督の必要とするものを満たし、カットされない絵コンテを切る技術を磨きましょう。



次回は、作画枚数やカロリーに関連する「山場」について、です。


では、また。



博多



後の回で改めて説明します。

2021年6月30日水曜日

『絵コンテを切る!!』第4回

ども、博多です。



シナリオはちゃんと読み込まないとダメって話の続きです。



絵コンテの最初の作業はなんでしょう?


「実作業」としては「コンテ打ち(合わせ)」になります。

コンテ打ちとは、監督から作品の設定、キャラクターの性格や関係性、ストーリーの流れなどを聞いたりして、コンテの方向性を確認、擦り合わせしていく作業です。

ここで作品の全体像が把握出来ないと、トンデモコンテを切ってしまいます。


2回で書いたように、作品の中の「基準」「良し悪し」「是非」を決めるのは監督です。

監督の求めるコンテを切れないコンテマンは使ってもらえません。修正が大変ですからね。


商業アニメの絵コンテを切る上で、「コンテ打ち」が実は一番大事な時間だと言えます。

監督に直に質問したり、意見を言えたりするし、こちらの意図を事前に伝えて確認出来たりします。

ここで密にコミュニケーションを取っておくことで、「ズレたコンテ」を切るのを回避出来ます。



ただし!


それには「コンテ打ち」の段階ですでに、自分の描きたいコンテがある程度固まっている必要があります。

ぼんやりと形が見えている状態で話をするのと、まだ何もない状態で話をするのでは全然違います。


演出処理をやっている時に、作打ち(作画打ち合わせ)でコンテをしっかり読み込んで来るアニメーターと全く読まずにいきなり打ち合わせしちゃうアニメーターでは全然上がりが違う、みたいなことですよ。

……て、業界の話で例えられても!(セルフツッコミ)


料理しようとする時に、何を作るかを決めてから作り出さないと迷走しちゃう感じ?

とりあえず、鍋に豚肉、ジャガイモ、人参、玉ねぎ入れて作り出したけど、カレーにもシチューにも肉じゃがにもなっちゃうゾ、的な……(合ってるか、この例え?)。



……まあ、とにかく(汗)。


「コンテ打ち」時点で監督にこちらから確認の質問や、やりたいことの提案などが出来るくらいまでがっつりシナリオを読み込んでおくことが肝要ということです。

なので、最初の質問の答えとしては、「もらったシナリオに目を通して、コンテの輪郭を描いておく」です。


シナリオを読み込んだ上での「コンテ打ち」はとてもスムーズに進みます。当たり前ですが。

監督に、こと細かに説明していただくのが申し訳ないくらい。


ずっと関わっているシリーズ物や、気心知れている(こちらの上がり具合を分かっている)監督だと、その時間はどんどん短くなっていきます。

コンテ打ちの時間は大抵2時間くらいで想定されてますが、実質30分雑談1時間半なんてことも結構あります。

……というか、最近そんなのばっかだな。



何をするにも下準備が大事ということですね。

下準備さえしっかり出来ていれば、その仕事の半分は終わってると言っていいでしょう。


理想中の理想は、コンテ打ちの時点で切るコンテが固まっていて、あとはアウトプットだけという状態ですね。

そうなると、2週間でコンテ切れます。マジで。


なので、

制作の皆さん、なるべく早めにシナリオください。前後話数のシナリオも。



次回は、シナリオを読み込んだ後の話。


では、また。




博多