2021年9月25日土曜日

『絵コンテを切る‼︎!』第12回

 ども、博多です。


「準備万端、いざコンテを切るぞ」と言いたいところですが、最後の最後にもうひとつ準備しておきたい。

香盤表で全体の構成が見えた状態で、今度は具体的なカット割りを「下描き」しておきます。


「そんなの、コンテ描きながらでいいじゃん」と思うでしょう?


もちろん、コンテ用紙に描きながらでも構いません。

ただ、コンテ用紙上で描きかえたり、カットを入れ替えるのは結構大変です。


特に、コンテを切り始めたばかりの頃は描いては消し、修正しては消し、の試行錯誤が続きます。

なにしろ、絵コンテには「正解」がありません。

描き進めていくうちに「あ、あそこはこうしておけば良かった」と前のカットが気になって、戻って修正したくなることもしばしばです。

「すでに描きあげたもの」に手を加えて直していくのは、想像以上に気が滅入る作業です。

作業ペースも乱れるし、モチベーションもちょい下がります。


こういった事態をなるべく回避するために「サムネイル」(と私は呼んでます)を作成します。


「サム……ネイル……?」と思われた方も多いでしょう。


これは生来心配性の、私が思い付いた方法ですが、初心者には是非とも実践していただきたい。

ここはちょっと強めに言っておきたい。


「是非とも実践していただきたい‼︎



これは始めにも書いた通り、カット割りの「下描き」です。

私が描いているのは、こんな感じ。





「下描き」と呼ぶのは憚られるような殴り描きですが、これでも十分です。

ここで大事なのは、実作業時に何を描いていたか思い出せるかどうか、ですから。

メモと言う方が近いかもしれません。


「サムネイル」とは、どんなカットが順番に連なっていくのか、の「メモ」です。


これを最後まで一気に描きあげてしまいましょう。


「山場」「平場」のバランスや、アングルの切り返し、各キャラの配分、ざっくりのレイアウト、ざっくりのセリフをここでほとんど決め込んでしまいます。

この作業はそこだけに集中するので、早ければ3、4日、遅くとも1週〜10日ほどで終わるはずです。


実は、この作業の要点はもうひとつあります。


それは「コンテを最後まで描きあげた感」です。

これがデカイ。

そして、初心者に実践を勧める最大の理由でもあります。


何度も何度も口を酸っぱくして言いますが、大事なことなので、また言います。


作業の全体像を把握してから、作業を始めること。

そして、自分が今、全体のどの辺りを作業しているのかを把握すること。



スケジュールを守る上でも、仕上がりのクオリティを考えても、これを常に意識してください。

絵コンテに限らず、長期間に渡る仕事を行う時には必ず意識すべきことです。




……正直、当たり前のことすぎて、「何言ってんだ、私は」と思っているんですが。




……ですが、

こんな当たり前のことすら分かってない人で溢れている、アニメ業界です。

締め切りを守るだけで重宝がられるってんなら、存分に重宝がられてやりましょう!



いよいよ、準備は整いました。

橋本真也的に言うと


「時は来た!」



コンテ用紙に向かいましょう。



では、また。




博多