ども、博多です。
「準備万端、いざコンテを切るぞ」と言いたいところですが、最後の最後にもうひとつ準備しておきたい。
香盤表で全体の構成が見えた状態で、今度は具体的なカット割りを「下描き」しておきます。
「そんなの、コンテ描きながらでいいじゃん」と思うでしょう?
もちろん、コンテ用紙に描きながらでも構いません。
ただ、コンテ用紙上で描きかえたり、カットを入れ替えるのは結構大変です。
特に、コンテを切り始めたばかりの頃は描いては消し、修正しては消し、の試行錯誤が続きます。
なにしろ、絵コンテには「正解」がありません。
描き進めていくうちに「あ、あそこはこうしておけば良かった」と前のカットが気になって、戻って修正したくなることもしばしばです。
「すでに描きあげたもの」に手を加えて直していくのは、想像以上に気が滅入る作業です。
作業ペースも乱れるし、モチベーションもちょい下がります。
こういった事態をなるべく回避するために「サムネイル」(と私は呼んでます)を作成します。
「サム……ネイル……?」と思われた方も多いでしょう。
これは生来心配性の、私が思い付いた方法ですが、初心者には是非とも実践していただきたい。
ここはちょっと強めに言っておきたい。
「是非とも実践していただきたい‼︎」
これは始めにも書いた通り、カット割りの「下描き」です。
私が描いているのは、こんな感じ。
「下描き」と呼ぶのは憚られるような殴り描きですが、これでも十分です。
ここで大事なのは、実作業時に何を描いていたか思い出せるかどうか、ですから。
メモと言う方が近いかもしれません。
「サムネイル」とは、どんなカットが順番に連なっていくのか、の「メモ」です。
これを最後まで一気に描きあげてしまいましょう。
「山場」「平場」のバランスや、アングルの切り返し、各キャラの配分、ざっくりのレイアウト、ざっくりのセリフをここでほとんど決め込んでしまいます。
この作業はそこだけに集中するので、早ければ3、4日、遅くとも1週〜10日ほどで終わるはずです。
実は、この作業の要点はもうひとつあります。
それは「コンテを最後まで描きあげた感」です。
これがデカイ。
そして、初心者に実践を勧める最大の理由でもあります。
何度も何度も口を酸っぱくして言いますが、大事なことなので、また言います。
作業の全体像を把握してから、作業を始めること。
そして、自分が今、全体のどの辺りを作業しているのかを把握すること。
スケジュールを守る上でも、仕上がりのクオリティを考えても、これを常に意識してください。
絵コンテに限らず、長期間に渡る仕事を行う時には必ず意識すべきことです。
……正直、当たり前のことすぎて、「何言ってんだ、私は」と思っているんですが。
……ですが、
こんな当たり前のことすら分かってない人で溢れている、アニメ業界です。
締め切りを守るだけで重宝がられるってんなら、存分に重宝がられてやりましょう!
いよいよ、準備は整いました。
橋本真也的に言うと
「時は来た!」
コンテ用紙に向かいましょう。
では、また。
博多