ども、博多です。
さて、シナリオを読み込み、「山場」を設定したら、今度はコンテ全体のバランスを考えます。
私がまずやるのは、「各シーンの想定カット数の設定」です。
TVシリーズ作品には必ず放送用の「フォーマット」があり、決まった秒数つまり「総尺(または定尺)」があります。
これはガッチリ決まっていて、気分で数秒伸ばしたり縮めたり出来るものではありません。
なので、ここに収まるような秒数で絵コンテを切る必要があります。
「収まる」と言いましたが、基本的には「カッティング」という編集作業が控えていますので、少し長めに作っておいて切ってもらうのが通例です。
カッティングで切れる秒数は、30〜60秒前後。
それ以上長いとカッティングで、演出家と監督が編集さんと一緒に頭を悩ますことになります。
逆に短いと、伸ばしどころを探すことになります。
「尺を伸ばす」のも意外と難しい。
編集さんは基本的にフィルムにテンポを求めます。
変な「間」を嫌うので、「特に意味のない間尺」はカッティングではガンガン落とされます。
そうすると、最初に想定していた「総尺」よりも短くなっていきます。
じゃあ、どこを伸ばそうかとなった時に、全体で「切り揃えた」テンポの中に、妙に間の長いシーンが出来てしまうわけです。
余談として。
絵コンテで想定した「尺(各カットの秒数)」は当然、監督チェック時に変更されることがあります。
さらに、演出家がカッティング素材を作る場合、その監督チェック上がりのコンテ尺から変えることもしょっちゅうあります。
なので、「絵コンテ上の尺」はあくまでも目安です。
もちろん、そのまま使われることもあるので、いい加減につけていいものではありません。
で、
「定尺」よりも30〜60秒くらい多目のコンテを切っていくわけですが、そのためには「カット数」の把握が関わって来ます。
各作品には「定尺」同様、このくらいのカット数で収めてほしいという「想定カット数」があります。
これは制作予算に直結する問題です。
なぜなら、日本のTVシリーズアニメのほとんどが、「1カット◌◌円」という単価で原画を発注しているからです。
制作費から原画費を割り当て、原画マンに仕事を出しているわけですが、カット数が多ければ多いほど予算を圧迫します。
制作としては毎話数、ある程度決まったカット数の中で作りたいわけです。
この「定尺」と「想定カット数」は、「コンテ打ち」の際に、制作から伝えられます。
そして、「想定作画枚数」も。
その時に、「どのくらい動かせそうか」「どんなテンポのフィルムになりそうか」「カット割りは細かく出来そうか」がなんとなくイメージ出来るようになると、色々と捗ります。
閑話休題。
ここで最初に述べた「各シーンの想定カット数の設定」です。
この「総尺」を「想定カット数」で割ります。
すると、こんな感じの式ができます。
例)
1200秒(総尺)÷300カット(想定カット数)=4秒
つまり、「1カット=4秒」でこの作品のコンテを切ればよい、というわけです。
もちろん、「全カット4秒のコンテ」を切るという意味ではありません。
「全カットの平均秒数がおよそ4秒で300カット前後のコンテ」を切るということです。
この「目安」が重要になってきます。
長くなりそうなので、次回に続けます。
では、また。
博多