2017年11月5日(日)、西東京市民会館にて「ふくだのりゆきの背景原図(レイアウト)講座」が開催されました。18時受付開始ということで、すっかり日が暮れてからの開催となりましたが、90名を越える受講者に集まっていただけました。会場となった大会議室が土足禁止ということで、スリッパに履き替えての講座となりました。
冒頭、神志那弘志氏から会場の諸注意、用語集の配布について、ならびに「あにれく」講座の意義に関してのアナウンスがあり、続いて講師のふくだのりゆき氏が登壇し講座が開始しました。
まずは「レイアウト作業」と「ラフ原画(第一原画)作業」の違いについての解説から。背景原図とキャラクターの大まかな動作、配置などを決め込む「レイアウト」に対して、「第一原画」はさらに詳細な動きを足したり、セル分けをしてタイムシートまでつけることをいいます。昨今、TVシリーズなどの作品では始めから「第一原画」を作成することが多いのですが、この行程でリテイクが出てしまうと直すのが大変になります。ただ、逼迫したスケジュールの中で作品が作られている現状では、なかなか「レイアウト」システムに戻すのは難しいだろう、とのこと。
本講座は「背景原図を描くための基礎・基本」の解説ということで、次に基本的な用語を確認。PANやTU、TBなどのカメラワークやBOOKとBGの違いなどをおさらいした後、パース(遠近法)に関しての簡単な講義がありました。
休憩を挟んで、後半は実際に仕事で使用した絵コンテや設定、それを基に作成したレイアウトを見ながらの解説です。
ここでふくだ氏は、レイアウト作業時に重要なのは「香盤表」と「キャラの対比表」であることを強調。それらをふまえた上で、コンテで指示されている意図をいかに汲み取ってレイアウトに落とし込むか、また絵コンテと設定に齟齬があった場合の落とし込みをどうするかなど、長年培ってきたテクニックを時折ユーモアを交えながら話していきました。近年では、BGが3Dモデルで作り込まれており背景原図を描く必要がない作品も少なくなく、今後もそういった作品は増えていくだろうとのこと。
また、ふくだ氏は、自身が昔から「背景原図」に苦手意識があったとし、20年近いキャリアを過ごして40代になってから、ようやく「描けるようになった」と思えるようになった、とのこと。「昨日今日で上手くなれるものではない。背景原図を描けるようになるためには、経験を積むしかない。今日の講座はその土台を作っただけ」と説きました。
ここで時間が来て、講義が終了。質疑応答へ移りました。
作打ちでどういうことに注意して聞いているのか、との問いには「誰が、どこで何をしているかが分かるように。原画マンは、そのカットに関して演出の次に詳しくないといけない」と回答。長年アニメーターとして蓄積してきた経験を基に、受講者からの質問に次々と答えていきます。
30分ほどの質疑応答があって、21時半に講座は終了しました。
多くの皆様に受講いただき、ありがとうございます。あにれくのスタッフ一同より御礼を申し上げます。