2016年4月7日木曜日

あにれくのあぶく:古墳・遺跡の楽しみ方 その3(淡路島) 前渋

前渋です!

こちらで「古墳・遺跡の楽しみ方」を書かせて頂いていますが、もう少しライトに写真だけでも見てもらいたいと思って、自前のサイトで写真をみせるためのサイトを始めてみました。
ご興味のある方は是非とも!

で、今日のお題は、前回の五色塚古墳からも見える「淡路島」です。

皆さん、「日本の神話」というと何処の地域を連想するでしょうか?
天孫降臨の高千穂?
素戔嗚、大国主の出雲?
皇祖神天照大神の伊勢神宮?



そういった場所の陰に隠れてイマイチ目立たないのが、伊弉諾尊(イザナギ)、伊弉冉(イザナミ)の国産み神話の淡路島です。

日本神話には「神世七代」と呼ばれる、天地開闢の時に存在した七柱の神様が登場するのですが、その一番最後に初めて「人の形」をした神様として登場したのがイザナギ、イザナミです。

イザナギ、イザナミの神話には、国を作るために「混沌として形の無かった大地を、渡された矛によってかき回して形にした」という古代の戦争を想起させるような記述があります。
その際に矛から滴り落ちた滴が積もってできた島が淤能碁呂島(おのごろじま)と呼ばれますが、淡路島こそが淤能碁呂島であるという説や、淡路島の南東にある沼島が淤能碁呂島であるといった説があり、国生み神話において淡路島はとても重要な場所です。

淤能碁呂島に降り立ったイザナギ、イザナミは、二人で協力して日本の国土である大八島(本州・九州・四国・淡路・壱岐・対馬・隠岐・佐渡)を産むのですが、その際には、女が男を誘うようなビッチな真似はダメよ、といった興味深い記述もあります。

そんな淡路島、実際に行ってみると島の各地で神話と史実の繋がりを感じることができて、とても面白い場所です。

例えば、淡路島北東部の岩屋地区には、洞窟が御神体として祀られた岩楠神社がありますが、この洞窟はイザナギが風葬された場所だとされる説があります。
恵比寿神社の奥にある岩楠神社(2014/11撮影)

また、島の中北部には邪馬台国よりも更に古い時代と推定されている五斗長垣内遺跡がありますが、ここは当時としては最先端の技術である鉄器の加工技術が既に存在したことがわかっているようです。
五斗長垣内遺跡の説明看板(2014/11撮影)
伊弉諾に関する伝承の存在や、五斗長垣内遺跡の鉄器生成技術から、弥生時代後期の淡路島が重要な場所だったことが推測されて、とてもロマンを感じます。

そもそも、淡路島と紀伊半島、つまり大和王権の本拠地とが一番近付いている紀淡海峡にある島の名前知ってますか?
「沖ノ島」ですよ、「沖ノ島」!!
沖ノ島と言えば玄界灘!女人禁制、海の正倉院、現代に残る唯一の聖地!!
その島と同じ名前って、どんだけ思わせぶりやっちゅう話ですよ!
 

・・・すいません、取り乱しました。


五斗長垣内遺跡の少し南には、伊弉諾信仰の大元とも言える伊弉諾神宮が鎮座しています。
本来、伊勢神宮、出雲大社と並ぶレベルで国家として重要な神社だと思っているのですが、その知名度は両社に比べると今一つですね。
伊弉諾神宮の国産み神話の説明看板(2014/11撮影)

個人的に淡路島で一番好きなのは、伊弉諾神宮の少し南の山中にある岩上神社です。
ここは、巨石信仰を思わせる大岩が集まっていて、ただならない雰囲気が半端ないです。
岩上神社の巨石(2014/11撮影)

これらの他にも、紹介し出すとキリがない位に、淡路島は神話と歴史の繋がりに満ち溢れています。「普通の民家の敷地に古墳が見つかった」みたいなこともあり、情報を調べて民家を尋ねて古墳をのぞかせてもらったりもしました。
淤能碁呂島かもしれないと言われている沼島にも行く予定だったのですが、予定していた当日に風が強くて断念したので、いつか絶対に行きたいですね。