2016年12月23日金曜日

[あにれくのあぶく] 小田部羊一と『母をたずねて三千里』展へ行く  奥田誠治

12月1日(木)
小田部羊一と『母をたずねて三千里』展へ行く  奥田誠治

 日が暮れた四谷駅からタクシーで会場のイタリア文化会館へ向かう。
久しぶりに小田部さんに会えるのでワクワクしていた。娘も同行する。娘は小さい頃から奥様の奥山さんにも可愛がってもらっていた。

 行ってみて驚いた。懐かしい顔ぶればかりだ。主賓の小田部羊一さん、監督だった高畑勲さん主宰したアニドウの並木君、イラン・グエン君、写真家の南正時さんも懐かしい。AJA理事長の石川和子さん、旧理事の松谷さん(手塚プロ社長)にも出会えた。




鉄人28号時代の同期、古川卓さん、野田卓夫さん、住吉さん(現、佐藤昭司夫人)との出会いは思いもよらなかった。住吉さんは「鉄人28号」以来52年ぶりの再会だ。まさに青春時代の思い出だ。その後のそれぞれの人生を考えればドラマティックな出会いだった。月岡貞夫さんは相変わらずダイナミックで元気そう。珍しかったのは吉田茂承さん。吉田さんはパリで4ヶ月半机を並べてフランス人の絵コンテ(Le Maitre des bots, 1993)を直していた仲間だ。フランスと言えば巨体のピエール・ジネル君にも久しぶりに会う。

並木君と出会うきっかけとなった北島信幸君も久しぶりだ。20代だった彼らの青春に付き合いつつ荻窪で語り合い夜を明かした時代が懐かしい。高畑さんはすれ違うと目を伏せる。何で避けているのか分からない。前まで言って「奥田ですよ。忘れました?」とたずねると「うわー!」と叫んでハグされた。「赤毛のアン」から37年ぶりだった。途中メールのやりとりはあったが顔と名前が一致しなかったらしい。お互い良くあることだ。

黒田昌郎さん、佐藤昭司さんは日本アニメでの出会い。原画の才田俊次さんも元気そう。“ニャッキ!”の伊藤有壱さんは三善先生から紹介された。工芸大の木船夫妻にも出会う。木船さんは私の友人の渡部隆君の造形大同期。人間何かの縁で繋がっている。
小田部さんは終始ニコニコしていた。『母をたずねて三千里』のキャラはいまだに色あせない。小田部さんの上品な絵柄に心が和む。それにしても40年は長い年月だ。