2015年5月1日金曜日

神志那弘志の実践パース講座~初級編~ (WebVer.)

6月21日開催予定の『第2回 神志那弘志の実践パース講座』では、
第1回よりもさらに高度な内容と課題で講義を行う予定です。
限られた講義時間をより有効に活用するために、
受講者には予めパースに関しての知識をある程度身につけた上で、
講義に望んで欲しいと思っています。

なので、突然ですが『神志那弘志の実践パース講座 ~初級編~』!!
パース講座受講希望者はまずはここで、
パースに関する基礎的な用語の確認を行っておいてください。

また、これからアニメーターを目指したい、
本格的に絵を描く練習をしたい、という方も是非一読してみてください。

パースは「知識」です。
知っていればどんな物でも正確に描けるようになりますし、
知らないといつまで経っても漠然とした絵しか描けません。

英語で「perspective(パースペクティブ)」と言われるパースは
「線遠近法」「透視図法」とも言い、遠近感を表現する絵の技法のひとつです。



周りの黒枠はフレームだと思ってください。

図1の、中央に引かれた横線は「アイ・レベル=E.L(Eye Level)」です。
これはカメラの高さを示すものであり、
地面に垂直にカメラが立っていた場合の水平線(地平線)のラインでもあります。

中央の点「消失点=V.P(Vanishing Point)」から
斜め下に伸びている2本の線を道だと思って見てください。
道が消失点(V.P)に向かって収束しています。

このように、遠くにいくほど対象物を小さく(狭く)描くことで、
遠近感を表現するのが「パース」です。



図2は二つの直方体が置かれている状態です。

パースは厳密に言えば、全て「三点透視」で描かれるべきですが
、カメラの画角や対象物のサイズ、対象物との距離などにより
「二点透視」で描く場合も多いです。
特に、アニメーションの現場では「二点透視」
で描かれる場合が多いと思います。

左の直方体Aは「二点透視」で描かれています。
直方体Aの左側の面はV.P1へ、
右側の面はV.P2に向かって収束していきます。
右の直方体Bは「一点透視」で描かれています。
右側の面がカメラに正対しており、
その消失点がカメラの真横に位置することになるため、
上下の線を平行に描いてもおかしくない、という解釈です。
左の面はカメラの向きと平行に伸びていくため、
「フレーム中央の消失点(V.P)=カメラの消失点」
に向かって収束いくことになります。

ただし、「一点透視の絵」は対象がカメラと正対しているという、
特殊なケースだと思ってください。
基本はあくまでも「二点透視」または「三点透視」です。

また、カメラの高さであるE.Lはその画を構成する高さの基準となります。
直方体AとBが地面に置かれていた場合、
E.L部分が同じ高さですので、
直方体Aに比べてBはかなり大きいことが見た目で分かります。



図3が「三点透視」です。

左右の面がそれぞれ水平に、E.L上のV.P1、V.P2へ収束していますが、
さらに上方のV.P3に向かっても収束しています。

高層ビルなどを見上げた時の事を想像してみてください。
実際には、上方の小さなフレームのような画になるケースが多いです。
広角のレンズで捉えるとこのような画もあり得ます。
ただ、三つの消失点(V.P)が全てフレームに収まることは、
そうそうないと思いますが。



「三点透視」の絵を見て分かるように、
必ずしも消失点(V.P)がE.L上にあるとは限りません。

図4のように、E.L上に消失点(V.P)を持たない立体もあり得ます。

「消失点はアイ・レベル(水平線)上に存在する」というのは、
初心者が陥りやすい思い込みです。
画面内に存在する物それぞれに、
無数の消失点(V.P)があるということです。


『実践パース講座 ~初級編~』は以上です。
次回以降の『神志那弘志の実践パース講座』は
受講者が上記の内容を理解しているものとして進めていきます。

何度も繰り返しますが、即現場で役に立つような実践的な講座を目指していますので、
ある程度絵を描くスキルを身につけた方が対象です。
受講応募の際は、くれぐれもご注意ください。