ども、博多です。
いきなりですが質問です。
なぜ、あなたは「絵コンテを切ろう」と思ったんでしょうか?
カッチ、カッチ、カッチ……。
はーい!
「自分の思い通りに映像を作りたいから!」とか答えた人ー!
回れ右して自主制作アニメでも作っててください。
私の絵コンテ講座はあくまでも「商業アニメの世界で喰っていくため」のものです。
そういうことは教えられません。
というか、私が知りたいくらいです。
商業アニメの世界はそんな甘くありません。
まず「視聴者」と「クライアント」ありきです。
現場においては監督、そしてクライアント(この場合、出資者)が言うことが絶対です。
間違っても、自分の思い通りの映像を作れるとか思わないように。
自分の切った絵コンテが、監督チェック後にガラッと変わってる、なんてことは珍しくありません。特に絵コンテを切り始めた頃は。
そんな時でも「努めて」平常心で受け入れられる準備をしておきましょう。
自分がいくらカッコいい、面白いと思っていても、それが監督やクライアントに響かないようであれば、それは「NG」なのです。
自分が「監督であり出資者」ではない限り、「こうした方が絶対いい!」はありえません。
そして、最初にぶつかる壁がここにあります。
思わぬNGや修正を食らって、モチベーションが激落ちくんすることが必ずあります。
クリエイティブな仕事には付きものですが、1ヶ月掛けてせっせこせっせこ書いたものを否定された時のダメージはかなりデカイです。
「私は面白いと思ったのに……わからん人だな」などとブツクサ言いたくなる気持ちも分からなくもないですが、絵コンテマンはあくまでも絵コンテを切るだけあって、映像全ての「責任を取る」役職ではないことをわきまえましょう。
監督は映像全ての「責任を取る」役職なので、作品が面白かったら賞賛を浴びますが、一方で、つまらなかった場合は批判を一身に浴びる立場にあります。
つまり「責任を取る」代わりに、映像全般に関わる全ての役職の上に立って指示を出しているわけです。
その監督が「NO」と言ったら「NO」なのです。
TVシリーズであれば、自分の担当話数以外の話も全て踏まえた上で監督は判断しています。
過去話数、先の話数と並べた時に矛盾がないか、突出してヘンではないか「そんなキャラじゃないだろ」とか、いろいろな要素で見ています。
スポット参戦した絵コンテマンには見えない、分からないことは山のようにあるのです。
なので、
趣味趣向は一旦忘れましょう。
自分を殺して、シナリオに書かれたことを監督の指示通りに絵コンテにすることに専念してください。
じゃあ、自分の思い通りのコンテが書けないのか、というとそうではありません。
自分の思い通りのコンテがキチッと作品の中に収まっていればいいだけの話です。
孔子もおっしゃっています。
「七十而從心所欲、不踰矩。(七十にして心の欲する所に従えども矩(のり)を踰(こ)えず)」。
……はい?(←自分でツッコむスタイル)
要は、
積極的にどういう作品であるかを理解することに努めて、自分が思い描く映像の完成形がその作品に則すようになればいいのです。
その為には、しっかりシナリオを読み込まなくてはいけないのですが。
ということで、次回に続きます。
では、また。
博多